幼児期の教育は、大きくは家庭とこども園(幼稚園・保育園)で行われ、両者は連携し、連動してひとりひとりの育ちを促すことが大切であるといわれています。こども園と家庭とでは環境や人間関係のありように応じてそれぞれの果たすべき役割は異なります。 家庭は、愛情としつけを通して幼児の成長の最も基礎となる心の基礎を形成する場だと言われています。 園はこれらを基礎にしながら家庭では体験できない社会・文化・自然などに触れ、教師に支えられながら、幼児期なりの世界の豊かさに出会う場です。 さらに地域の中で、さまざまな人々との交流の機会を通して、豊かな体験が得られるといわれています。 園には、このような家庭や地域とは異なる独自の動きがあります。ここにこども園での教育内容を豊かにするにあたっての視点があります。
園では、幼児の主体的な活動を通しての遊びを十分に確保することが何よりも必要です。それは遊びにおいて、幼児の主体的な力が発揮され、生きる力の基礎ともいうべき、 生きる喜びを味わうことが大切だからです。子ども達は遊びの中で自分から進んでいろいろな対象にかかわり、自分の思いを表現します。 そこから、外の世界に対する好奇心がはぐくまれ、探索し、物事について思考し、知識を蓄えるための基礎が形成されます。 また、物や人とのかかわりにおける自己表出を通して自我を形成するとともに、自分を取り巻く社会への感覚を養っていきます。
そして、その後の学校教育全体の生活や学習の基盤を培う役割も担っています。 基盤を培うということは、小学校以降の子どもの発達を見通したうえで、幼児期の育てるべきことを、幼児期にふさわしい生活を通してしっかり育てることです。 そのことが小学校以降の生活や学習においても重要な自ら学ぶ意欲や自ら学ぶ力を養うことにつながっているのです。